時の歌姫
まるであたしの動揺に気づいたみたいに、彼がニヤリと笑う。


や、やだ。


緊張と恥ずかしさで、頬がカーッと熱くなったのをかんじたと思ったら。

暗闇がほどけるようにして、光がさし、


え!? つ、冷た!


お尻が濡れた地面についていて、あわてて立ち上がる。

あれ。あたし、立ててる!

そこはさっきまでいた広場の真ん中だった。


目の端で何かが動いている。
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