時の歌姫
柔らかい光が画面から溢れた。


その人の着る、淡いシフォンのドレスと、


象牙色の肌にピンクの薔薇みたいな頬。

ふわりとしたキャラメル色の髪。


それらが織り成す光だった。


「では、新しい歌姫、シルクに歌ってもらいましょう」


司会者が言うと同時に、彼女はスタンドマイクの前に歩み出る。


流れた曲は、Amazing Grace 。


切ない旋律があたしの胸をギュッと締め付ける。
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