時の歌姫
いつも一人だし。彼女いないのかな。


なんて、思っていた矢先に、

「英二さーん!」


誰かが彼の名前を呼びながら走ってきて、

「すんません! 遅くなって」


激突する勢いで、向かい側の椅子に座った。


めずらしく、今日は待ち合わせだったんだ。


意外に思いながら眺めるあたしの目の前で、その人はごくごくと英二さんの水を飲み干して。


「お水もう一杯もらえます?」

コップを掲げて、あたしの方を向いた。


あれ? この人って!
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