時の歌姫
短くカールした毛はあまり見ないアッシュグレイ。

今日はアーミーグリーンのTシャツだけど。


間違いない。

昨日、あたしを助けてくれた彼だ。


よくよく見ると瞳の色もグリーンがかった灰色。

その不思議な色の瞳をあたしはまじまじと見てしまった。


「あの?」

彼が形のいい唇を開いた。

あらためて見るとすごく綺麗な顔をした人で、あたしの鼓動は急に速くなる。


あ、あたしちゃんとお礼も言ってなかったし!


「おみず」

「へ?」

「お水もらえないんですか?」
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