時の歌姫
ヤツはまた目を丸くしたけど、そのまま照れくさそうな笑顔になった。

意外とカワイイ顔するじゃん。


「変なヤツ」

「どっちが!」


あたしも少し笑うと空の方で葉っぱもおかしそうにカサカサ言う。


見上げてる間に、

「じゃあな」

という言葉が聞こえたか聞こえなかったか。


振り向くとヤツの背中はもう遠くなっていた。


相変わらず去るのは速い。

「あ、店!」

気が抜けると急に心配になって、あたしは走りだした。
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