時の歌姫
虹色のシルク
店が見えると、カウンター席に誰かの姿。


店長!ちゃんと起きてよ!

「すみません!」

「あ、ミチル戻ってきたか」

「あ、なんだ。ヤス兄かぁ」


仕事に厳しいヤス兄だから怒られるにちがいなかったけど、

他のお客さんよりはよかったかな。


「何つっ立ってんだよ。いつものコーヒーな」

「え? あ、はい」

あれ、怒られない?


あわてて飛び込んだカウンターの中から盗み見ると、なんだか心ここにあらずの表情だ。

何かあったのかな。
< 61 / 72 >

この作品をシェア

pagetop