時の歌姫
救急隊や警察の乱入に皆が気を取られている今なら。

目の前に誰もいなくなった瞬間をついて、あたしはテントの中に駆け込んだ。


「ヤス兄!?」

テントの中はうっすらと煙が漂っていて、視界が悪い。

目の前の煙を手で払いながら足を進めたけど、予想に反してほとんど人影はなかった。


ようやく目が慣れきて、奥の方にぼんやりと影が見える。


あれは、女の人?
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