甘いあまいイチゴの香り
3


それから専門学校を無事に卒業した冬馬くんは、
卒業してすぐ修行のためにフランスへと旅立った。



もうしばらく会えないからみんなで空港に見送りにいった。

横浜と東京はまだ近かったけど、外国は遠すぎる。

もう、本当に会えなくなるんだ……。


寂しくて泣きじゃくる私を冬馬くんがそっと抱きしめてくれた。


「さくら、泣かないで?俺も寂しくて泣いちゃいそう。

中学校頑張れよ?ちゃんと勉強して、部活もして、素敵な女の子になれよ?
寂しくなったら、俺の家から国際電話しておいで。
手紙も書くから。だからさくらも書いて。」


冬馬くんから、あっちで住むアパートの住所が書いた紙をもらった。


「あ、あとさくらにプレゼント。絶対なくすなよ。」

冬馬くんがそっと私の髪を後ろに流すと抱きしめるように首に腕を回した。


できた。そう言って優しく微笑んだ冬馬くんは、いつものように頭を撫でてくれた。

そっと胸元を見るとキラキラ輝く、ピンクの石がついたハートのネックレスだった。



「うわぁー、冬馬やるな。」

隣でぼそっと一馬くんが言ったけど、私は嬉しくて耳に入ってこなかった。


「じゃあ、そろそろいってくるよ。」


冬馬くんは荷物を持って、ゲートへと進んでいった。


「冬馬くん!!ありがとう!!大事にする!!!」


私は冬馬くんが見えなくなるまで、大きく手を振り続けた。
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