甘いあまいイチゴの香り


講義が終わると、次も講義がある恵里菜と別れて私は中庭に向かった。



ふーーーっ。


久しぶりに電話するから緊張する。



微かに震える手で、冬馬くんの電話番号を表示させるとスマホをタップした。



プルルルル……


プルルルル……


ツーコールの後、大好きな声が聞こえた。



『もしもし?さくら??おはよ。
って、そっちは昼過ぎか?』


「うん、冬馬くんおはよ。今大丈夫??」


『大丈夫だよ。どうかした?』


「あのね、おばさんから3月に冬馬くんが帰ってくるんだって聞いたんだけど……
それでね、こっちにつく日、空港にお迎えに行ってもいい??」



『ックス。どうしてそんなに緊張した声なの……

いいに決まってるでしょ。空港に迎えにきて。9年も会えなかったから、一番にさくらに会いたいよ……。
3月10日、14時着だからね。』 



「っっうん!!!!3月10日14時ね!!
絶対に行くから!ありがとう冬馬くん!!!」


私は嬉しくてスマホを握りしめた。
勘違いしそうになる冬馬くんの発言も、久しぶりに妹に会う嬉しさからなんだと思うと切ないけど、
でも会えることが嬉しい。



『俺も嬉しい。やっとさくらに会える。。。
朝からさくらの声が聞けたから、一日頑張れるよ。
じゃあ、そろそろ行くな。』


「うん、お仕事頑張ってね!!」


冬馬くんはクスクス笑って、電話を切った。
ぎゅっと胸にスマホを抱きしめて、一緒に喜びもかみしめる。


もうすぐ冬馬くんに会える!!
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