甘いあまいイチゴの香り
冬馬くんが帰ってくる日。
この日をカレンダーを見ながら指折り数えた。
嬉しくて、楽しみで。
朝早くに目が覚めて、念入りに化粧をして、髪の毛も巻いて、選んでおいたブルーの花柄のワンピースに身を包んでから何度も姿見でおかしくないかチェックをする。
まるでデートにいくかのようだ。
迷ってもいけないし、早めに出ようかな。
支度を終えてリビングに降りると、珍しく菫ちゃんが帰ってきていた。
「あ、さくらおはよう。どーしたの?デート??」
微笑しながらコーヒーに、口をつける姿は誰もが見惚れるくらいの可愛さ。
「菫、今日冬馬くんが帰ってくるのよ。だからさくらは空港まで迎えにいくのよね?」
ママがキッチンから私の分の紅茶を持ってきてくれた。
菫ちゃんの前に座ると、優しく微笑みながらこっちを見ている菫ちゃんと目があった。
「さくらは本当に綺麗になったよね。これは冬馬くんも惚れ直すかもねー。可愛いい妹がこんなに大人の女になってるんだから。」
「そんなことないよ。私はまだまだ冬馬くんにしてみたら子どもだよ。。。」
本当は私を大人の女として見てほしい。
9年も会わない間に少しくらい変わったって思ってほしいよ。
「さくら、飲んだら行くんでしょう?
気を付けてね。夜はおかえり会だからね。
本当は二人で過ごしたいでしょうけど?フフフ……!」
「っな!!!そんなんじゃないよ!」
ママは勘違いしてるよ。冬馬くんが私と二人で過ごしたいなんて思うはずがないのに。
むしろ、菫ちゃんが冬馬くんが帰ってくるのを知らなかったことが驚き。
「今日そういえば、おかえり会とか行ってたねー。私もそれに顔出してから帰ろうかな。」
「そうしなさいよ。冬馬くんも喜ぶわよ。」
そりゃそうだよ。冬馬くんにしてみたら、私より菫ちゃんに会いたいはず。
菫ちゃんが、忙しいと思って言わなかったのかな、、、