甘いあまいイチゴの香り


タクシーに乗っているあいだ、触れそうで触れない手が気になって、指先が触れるだけでドキドキしてしまって家まであっという間に着いてしまった。



もっと、一緒にいたかったけど、仕方がないよね……



冬馬くんがタクシーの運転手に支払いを済ませて玄関に向かっていく後ろ姿を見つていると、

ふと冬馬くんが振り替えって首をかしげているのを見て、私も首をかしげる。


「さくら?こっちこないの?
それとも用事がある?」


「ううん!ないよ!いくっ!!!」


私は尻尾がみえてるんじゃないかと思うくらい、嬉しくて玄関に入っていく冬馬くんの後ろを追った。



「ただいまーー!」


バタバタとリビングからおじさんとおばさんが出てきて、嬉しそうに目を細めている。


「おかえりなさい!無事についてよかったわ。
さくらちゃんも、ありがとうね。さ、コーヒー入れるからはいって!!」


「冬馬、お疲れ様。よく頑張ったな。」


冬馬くんと一馬くんの整った顔立ちは、この二人によく似ている。本当にいつ見ても美男美女で年のわりに若く見えるから不思議。


玄関で靴を脱いでから、みんなの後についてリビングへと向かった。


昔は毎日のように来ていた冬馬くんの家も、あの頃からほとんど来なくなって、
冬馬くんがフランスへ行ってからは、たまにママのお使いで来るくらいで中にはいるのは久しぶりだった。


でも、そんな久しぶりな気がしないのは、
毎日のように来ていたからかな。。。

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