甘いあまいイチゴの香り


「ん???さくら、引っ越しするの?どこに??」


冬馬くんが私の左手を包み込むようにグッと握ってくる。



「アンジェっていうランジェリーの会社に就職が決まったの。家からだと通勤が大変だから、菫ちゃんのマンションの近くに引っ越しするんだ。
あと、こっちでの生活も10日かな?」


「アンジェって一馬のとこ?マンションはどこなの。」


「パパが心配してね、実は一馬くんのマンションの隣の部屋なんだ。たまたま開いてて、家賃は少し高めだけど……」


「まじかよ……。」



はぁー、とため息をつく冬馬くんを不思議に思いながらも、繋がれたままの手が嬉しくてついニヤついてしまう。


「まぁ、女の子の独り暮らしは心配だから、一馬が近くにいたら安心だね。でも!!あまり一馬を家に入れないこと!!」


ん?なんで?


眉間にシワを寄せて不機嫌な冬馬くんに首をかしげていると、おばさんとおじさんがクスクスと笑っている。


「まぁまぁ、お前も遊びにいけばいいだろう。車ならすぐなんだし。それに、来年には東京に店も出すんだから冬馬だって一馬と一緒に暮らせばいいじゃないか?」


「えっ!!!おじさん東京にお店出すの!?」


「ん?そうそう、行ってなかったか?来年東京に2号店を出すんだけど、そこを冬馬に任せようと思っててな。」


本当にっっ!!!!


嬉しすぎる!
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