甘いあまいイチゴの香り
アンジェの本社は東京にあり、大学まで実家の横浜で過ごした私は入社と同時に上京。
今は会社から電車で15分の距離にあるマンションに独り暮らしをしている。
もともと7つ上の姉が東京で仕事をしていたこともあって、子離れの出来ていないパパの反対にあうこともなく独り暮らしを満喫している。
条件は姉の住むマンションの近くに住むことだったけど。
最初は同じマンションにしなさいというパパの言葉に、医者の姉と同じところに住めるほど給料はもらえない!と説得に説得を重ねて、近場ならと妥協してもらった。
そんな姉の菫は医者であるパパに似たのか昔から勉強が出来たこともあって医者の道へ進み、去年クリニックを開業させた。
港区の一等地にあるクリニックは美人女医がいるという口コミと、その口コミを聞き付けたマスコミによって毎日忙しそうにしている。
菫ちゃんはママに似ていて、堀の深い私と違って透き通るような白い肌に、クリクリとした真ん丸の瞳、ポテッとした唇はお人形のようで、
美人というより、可愛い顔をしている。
身長だけはパパに似て170センチもあるけれど、
スタイルの良さと可愛い顔が雰囲気から美人オーラがすごい。
会社に行く支度も終わって、のんびりコーヒーを飲みほすと、お気に入りのパンプスを履いて会社へと向かった。
「今日はポカポカ日和。ランチは外で食べるのもありかも。」
まだ、朝なのについついお昼の事を考えてしまう。
今日からうちの会社にも新入社員が来るということもあって、電車の中も駅からオフィスまでの道のりもまだスーツを着なれない新社会人であろう人たちをチラホラ見かける。
オフィスのエントランスに入るとエレベーターへと向かった。
オフィスは自社ビルで、15階建て。
私の働く商品開発課は12階にあり、自社ビルのなかでも高層階にあるので眺めもすごく良くて入社当時は少し怖いくらいだった。
商品企画課の仕事は文字通り、新しい下着を企画し、その企画が通ればデザイナーやパタンナーと会議をしてどのような下着にするのかを形にしていく。