甘いあまいイチゴの香り


何だか気まずいまま出掛ける時間になって、
まだソファーで寛いでいる冬馬くんに声をかけた。


「冬馬くんは、仕事の時間大丈夫??鍵お願いね。
あと、これお弁当。」


私は巾着に入れたお弁当を冬馬くんに渡すと、そのまま玄関に向かった。


「さくら、弁当ありがとな。気を付けて。」


「うん、忙しくてもしっかり食べてね?
いってきます!」

「いってらっしゃい。」


冬馬くんの笑顔に送り出されて、さっきまで気まずい雰囲気だったのに、今はとても心が晴れている気がする。


最近、冬馬くんのお店には新しくパティシエが1人増えて、冬馬くんを含めて4人のパティシエがあの可愛くて美味しいケーキを作っている。

今日みたいにゆっくり出勤できる日や、休みが取れることもあって前みたいに疲労困憊ということは少なくなってきたみたいだけど。。


だから少しは安心だけど、忙しくてあまり食べない冬馬くんには栄養をちゃんと摂ってもらいたくてたまにお弁当を作るようなったんだけど、
本当は毎日作りたいけど、押し付けがましいかなって思って、冬馬くんが泊まった翌日だけにしている。


ちゃんと食べてくれるかな。
ほんと、不規則な仕事だし、過酷だし、心配だよ。。


さぁ、私も今日一日頑張らなくちゃ!!!


軽い足取りで会社へと向かう。


今日もオフィスにはまだ人はまばらで、いつものように掃除から仕事を始めた。
< 42 / 73 >

この作品をシェア

pagetop