甘いあまいイチゴの香り
一人夢中で仕事を進めていくと、始業の時間が近づくにつれてどんどん社員が出勤してきてフロアーも先程までの静けさから一転していく。
「小泉、おはよ。急なんだけど、今日同期会しようかって言ってるんだけど出れる?」
「あー、苑田くんおはよ。んーー、たぶん出れるかな。」
「おっけー。じゃあ後で時間と場所メールする」
苑田くんはニコリともせず、いつものクールなまま、
用件だけ伝えて自分のフロアーへと戻っていく。その後ろ姿を見送って、残業にならないようにと頭の中で急ぎとそうでない仕事を仕分けてから、パソコンに向き合った。
苑田くんは同期の中というより会社の中でも人気で、整った彫りの深い顔立ちと、180センチはあるであろう長身が皆の目を引き付けるのに、営業では毎月トップの成績を誇り、かといって媚を売らない少し冷たくも感じるその性格が人気を読んでいる。
10人いる同期でも一緒にいると一番気を使わなくていい人かもしれないな。
今日、飲み会でよかった。。。
一人になると絶対に考えてしまうから。
家だって隣だし、気になってしまうだろうしね。
そう思ったらお隣さんって、辛いかもな。
私が知らないだけで、冬馬くんと菫ちゃんは家を行き来しているのだろうし、
忙しいから中々会わないけど、、、
引っ越ししたいなー。
会社から少し遠くなっても、もう少し家賃が安くてセキュリティのしっかりしてるところ、探そうかな。