甘いあまいイチゴの香り
会社から15分の距離のマンションは居酒屋からも近くて30分はかからない。
普段は無口な苑田くんは、相変わらず無口だけど、それが不思議と苦痛じゃない。
マンションの前に着いたとき、先ほどまで一言も話さなかった苑田くんがぽつりと言葉を洩らした。
「なぁ、小泉。彼氏いないんだよな?」
小さすぎて聞き逃しそうなほどの声量で思わず聞き返してしまった。
「彼氏いないんだよな??」
「あー、うん。彼氏はいない。」
「俺さ、入社してからずっと、小泉のことが好きだったんだ。彼氏いないなら、俺と付き合ってくれない?」
「……えっ???…………。」
苑田くんが私を好き????
今までそんな素振り全然なかったのに。。。
あまりの驚きに頭が真っ白になって、言葉がでてこない。
「……っっっ!!!!」
あたふたしていると、苑田くんが腕を掴んで引き寄せたかと思うと、背中に腕が回って強く抱きしめられた。
思わず身体が強ばってしまい、それに気が付いた苑田くんがぽつりとごめんと溢したけど、
その腕が外されることはなくて、未だに強く抱きしめられたまま。
どうしよう…………
どうしよう!!!!!
断らないと!
そう思うのにパニックで声がでない。