甘いあまいイチゴの香り
その時、私の後ろからコツンと足音が聞こえたかと思うと、「えっ?」という声が聞こえた。
その聞き覚えのある声に慌てて苑田くんの胸に手をついて距離を取ると、声のした方へと視線を向けた。
「さくら??……と苑田くんだっけ。こんなマンションの前で何してるの。」
少し怒ったような低い声を出す一馬くんに思わず肩をすくめた。
「上原課長、すみません。あの……」
「っ苑田くん、送ってくれてありがとう!」
私は慌てて苑田くんの声を遮ると、一馬くんの腕を掴んでエントランスへと向かった。
少し振り替えると、呆然とこちらを見つめて立ちすくむ苑田くんがいて、申し訳ない気持ちになる。
「ねぇ、どうゆうこと。
なんであいつに抱き締められてたわけ。
まぁ、その様子じゃあ告白されたってとこ???」
エレベーターに乗り込むとすぐに、一馬くんの不機嫌な声が降ってくる。
恐る恐る見上げると、目をすーっと細めてこちらを見つめる一馬くんと目があってビクッとしてしまった。
何でわかるの!??!
「いやっ、、、まぁ、そうなのかな?
うん。そうだよね。……あれは告白だよね。。。」
「何簡単に抱き締められてるの。
見たのが俺でまだ良かったよ。まぁ、兄貴分としてはムカつくし、俺の可愛い桜に何やってんだってぶん殴りたいけどっっっ!!!!
冬馬ならあいつ吹っ飛ばされてたな。」
「何でそこで冬馬くんなの。冬馬くんがそんなことするわけないじゃん。」
「いやいや、あいつも男だよ?
おまえが他の男に触れられてるのを見たら、一発くらいおみまいしてるね。」