甘いあまいイチゴの香り
そんなわけないじゃん。
私は冬馬くんにとってただの妹みたいなものなのに。
そりゃ一馬くんみたいにすこしは怒ってくれるかもしれないけど……
「冬馬くんは、こんなことで怒ったりしないよ……
だって私は妹みたいなものでしょ?」
「はぁ?おまえ何言ってんの。
…………って!何で泣いてんの!!!!」
昨日のことを思い出してまた涙が溢れてくる。
急に泣き出した私を見て、一馬くんがあたふたとしてるのが分かるけど、泣き止まないとと思っても涙は止まってくれない。
「あぁぁ!もうっ!行くぞっっっ!!」
ちょうどエレベーターが部屋の階に着いて、
一馬くんに引っ張られながら部屋までたどり着くと、
私の部屋の鍵を奪って一馬くんが開けてくれる。
押し込まれるように玄関に入ると、
まだ電気も着けてない真っ暗な玄関で一馬くんの腕が私の背中を引き寄せるように抱き締めた。
「…………はぁ。急に泣くなよ。。。俺ら兄弟がおまえの涙に弱いの知ってるだろ??」
そう優しく言いながらトントンと背中を叩いてくれる心地よいリズムに心が少しずつ落ち着いてくる。
しばらくそのままでいてくれた一馬くんの胸から少し顔を上げると、暗闇でも近い距離だからか一馬くんの顔がはっきりとわかる。
「落ち着いた??
ほら、何か入れるから入ろ。」
一馬くんに背中を押されながらリビングのソファーに座ると、勝手知ったるというように一馬くんがキッチンでココアを入れて持ってきてくれた。