甘いあまいイチゴの香り
「…………で?なにがあったわけ。
苑田になにかされたわけじゃないよな?」
一馬くんの言葉に、正直に話さないといけないような気になってくる。
一馬くんなら知ってるかもしれない。
菫ちゃんと冬馬くんの関係を。
私は一口ココアに口をつけると、ローテーブルにカップを置いて、側にあったお気に入りのクッションを抱き締めた。
「……あのね、昨日、仕事の帰りに冬馬くんのお店に行ったの。……もう、閉まってたんだけど裏口から入ったらね、、、菫ちゃんもいて、、二人が喧嘩みたいに言い合いしてたんだけど、そのあと、抱き合ってて……………」
「……はっ??……冬馬と菫が抱き合ってた????」
一馬くんがいきなり私の両肩を掴んで強く揺さぶる。
「どうゆうことだよ!冬馬が抱き締めてたのか?!」
「えっ?!どっちからとかわからないけど、菫ちゃん泣いてて、冬馬はいつもさくらのことばっかりって怒鳴ってて…………。何で言い合いしてたのかは分からないけど……」
「ちょっと待ってろっ!!」
そう言うと一馬くんは怒りを露にして玄関を出ていくと、力一杯にドアを閉めた。
しばらくするとマンションの廊下から怒鳴り声が聞こえたかと思うと冬馬くんと共にまた家に戻ってきた。
私は慌ててリビングから飛び出して玄関に向かうと、
慌てた様子の冬馬くんと、不機嫌な顔のままの一馬くんが靴を脱いで上がってきている所だった。