甘いあまいイチゴの香り
「俺が帰って来たらさー、マンションの前で男と女が抱き合ってるんだよ。エントランスの前だし邪魔だなーって思ってたら桜だったんだよな?」
な?とこちらに同意を求めるように視線を送る一馬くんが憎たらしくて仕方がない。
そんな私たちを見て、さっきまで泣いていた菫ちゃんもクスクス笑って見ている。
もぉーーー!
だから何でそこまで言うのっ!!!
「桜、どうゆうこと??」
怖い。
怖すぎて隣が見れないっっ、
「さぁ、菫。俺たちは帰ろう。
今後のこと話し合わないとな!!」
一馬くんはそう言うと、菫ちゃんの肩を抱き寄せてリビングを出ていった。
嘘でしょ、、、
こんなに怒ってる冬馬くん初めてなのに。。。
二人っきりにしないでよ!!!!
ガチャンっと玄関のドアが閉まる音が聞こえると、
隣に座る冬馬くんが急に立ち上がったことにびっくりして、また肩を竦めてしまう。
「ッキャっっっ」
立ち上がった冬馬くんが、ソファーに座っていた私を抱き上げる。
お、お姫様抱っこっっ!!!
「っ冬馬くん?!重たいから下ろして?」
焦って冬馬くんに話しかけるけど、
冬馬くんは冷たい目で私を見下ろして、ふいっと視線を反らすとすたすたと歩きだす。