甘いあまいイチゴの香り
「桜、よかったな。お前のファンだって。クスクス…」
「ちょっと!一馬くん、そんなに笑わなくてもよくない!?私にだってそんな女の子の一人くらいいてもいいじゃん。」
「いやいや、おまえ男のファンはいくらでもいるだろうよ。。。」
「男のファンなんていないもん。」
私が拗ねたようにいうと、いつものようにくしゃくしゃっと頭を乱暴に撫でてくるから困る。
でも今まで生きてきて、モテたことなんて一度もない。
だから彼氏だっていたこともない。。。
だって、物心ついた時から私には好きな人がいるから。
今まで何度も何度も諦めようと思ったけど
諦められなくて、
この気持ちを捨てられないまま
まだまだ恋してる
思いを伝えられぬままこの年まで来てしまった…
初恋をこじらせたままの、いわゆるこじらせ女子。。。
私の好きな人は、ここにいる課長の弟、上原冬馬くん。
7歳上の32歳。
東京で洋菓子屋 パティスリーfraiseのパティシエをしている。
このお店は冬馬くんのお父さんが経営している2号店で、
昔からお菓子作りが上手で、いつも色んなお菓子を作ってくれた冬馬くんは高校卒業後、専門学校に進み、卒業後はフランスで修行をしていた。
そして3年前に日本に帰国をしてから1年間はおじさんの元で働き、2年前に東京にお店をオープンさせた。
私たちは元々、横浜の実家がおとなりさんで、母同士が高校からの親友ということもあり、こどもの私たちも幼い頃からずっと仲が良かった。
一馬くんや冬馬くん、菫ちゃんにとって私は年の離れた妹で、いつもいつもみんなから可愛がられて育ってきた。