君の本気に触れた時…
入力作業が終わり時計を確認すると3時を少し過ぎたところで、課内にも人が戻ってきていた。

コーヒーを淹れるため席を立つ。

給湯室でみんなのカップを準備してお湯が沸くのを待っていると


「僕も手伝いますよ。」


その声にバッ!と勢いよく後ろを振り返ると

給湯室の入り口を塞ぐ様に彼が立っていて、狭い室内に入ってきた…。

ここはフロアの入り口にあって、女性社員以外はあまりこない場所だから皆んなの目も届きにくい。

しかも二人が 並んで立つといっぱいになってしまうくらい狭くて…

倉庫でのことがあったから、密室で彼と二人になる事に抵抗があった。


「…いいよ。あっちで待ってて、中城君の分もちゃんとあるから…。」

「せんせー、俺の事警戒してます?」

「……だって、さっきみたいな事になったら困る。」

「意識してくれてるんだ…俺のこと?」

「あのね…いい意味でじゃないから。」


なんでも都合よく解釈しようとする彼に、現実を教えてあげた。


「だけど、意識には違いないんで。」


ニヤリと笑った彼は、ほんと…どこまでもポジティブだった。飽きれるほどに。
< 11 / 235 >

この作品をシェア

pagetop