君の本気に触れた時…

電車がホームに流れ込んできた。

いつものように乗り込もうと足を出したその時…

私の右手に何かが触れ、そのまま強く引かれた。


プシュー


背後で電車の扉が閉まり、電車が動き出した。

いつもと同じ通勤電車の中の私たちを纏う空気だけが、今までとは明らかに変わった。

扉と扉横の座席を背に立っている私のすぐ正面には彼が立っていて…そんな私たちの手は繋がれていた。

通勤ラッシュの時間帯、身動きなんて出来ない。

だけど、手を解こうとした私の指を彼は離してくれなかった。

繋がれていない彼の反対の腕は、私の顔の横のドアに突いていて閉じ込められているみたいだった。

どうしていいのか分からないのに、この状況に私の心臓はキュンと素直に音を立てた。