君の本気に触れた時…
「あぁ…そうだな。」


先輩は私の笑顔を見て、ホッとしたのか硬かった表情が少しだけ柔らかくなった。

みんなより飛び抜けた中城君の頭が少しだけ離れた前方に見えた。

彼はすごく背が高いから、離れていてもすぐに見つけてしまう。

途中で知り合いに会ったのか、隣にいる誰かと話しながら歩いているように見えた。

他の人の背中でなかなか見えなかった隣人の後ろ姿が、やっと人の隙間からチラリと見えた。

彼の横には、髪をハーフアップにした女性がいた。

髪型しか見えないその後ろ姿には、見覚えがあった。

金曜の夜に、ハル君の横にいて私を睨んでいたあの彼女も同じ髪型だったから…。

なんだか、仲の良さそうな2人の後ろ姿を見てるのが辛かった。

胸のあたりがモヤモヤしてズキズキして…苦しくなった。

気づかなきゃ…よかった。

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