君の本気に触れた時…
確か、先輩に竹内と呼ばれていた彼は、私を視界に入れると


「あっ…こんにちは…」


と声をかけてきた。

とても人懐っこい笑顔を見せて……。

その声に他の人達も後ろを振り返った。

中城君の隣に立つ彼女は私と目が合うと、あからさまに嫌そうな顔をしたのを私は見逃さなかった。


「こんにちは。」


でも気づかないふりをして一応、先輩らしく笑顔で挨拶を返した。


「西沢先輩とは…」


竹内君がそこまで言いかけたところで、信号が青になったので彼は他の人に引っ張られるように行ってしまった。

よかった……

彼があの後何を言うつもりだったのかは大体予想はできた。

先日の夜の事で西沢先輩との事を誤解しているのは確実だったから。
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