君の本気に触れた時…
さっきまでは、2人の会話がはっきりと聞こえていたのに今はもう何も聞こえてこない…。

少し時間がかかりそうだと察した運転手さんが、冷たい夜風が入り込んでくるドアを一旦閉じたから。

2人が何を話しているのか気になって仕方なかった。

もしかしたら、彼女は告白でもしているのだろうか?

ずっと背けていた目を…ゆっくりと2人のいる方に向けた。

見た瞬間、心臓が嫌な音を立て心の中が不安と嫉妬で塗りつぶされていく…。

見てしまったことを後悔してももう遅かった…。

彼の背中に手を回し抱き合う2人を見てしまったのだから。

何も見てないふりをして、動揺を隠すためにバックの中から意味もなくスマホを取り出した。

誰からの着信もメールも受信してないそれをもう一度バッグの中に仕舞うと静かに目を閉じた。

その直後にドアが開き、彼が運転手さんに謝りながら乗り込んできた。




< 163 / 235 >

この作品をシェア

pagetop