君の本気に触れた時…
「ここ、相席いいかな?」


思わず、もぐもぐと音がしそうなその両頬を膨らませたままの顔で、声の主を見上げると…王子様フェイスが視界いっぱいに飛び込んできた。

突然でビックリし過ぎて頬に蓄えた食材をよく噛みきれないまま、ゴクンッ!と飲み込んだ。

返事ができない私の代わりに聡子が愛想よく返事を返した。


「ハイどうぞ、先輩達もお疲れ様です。」

「ありがとう。君たちもお疲れ様。…朝倉も大丈夫か、喉に詰まらなかった?」

「 は、はい…大丈夫です。ちょっとだけ食道が痛かったですけど…。」

「ハハハ、相変わらず面白いよね朝倉って。」


憧れの先輩が私を見て笑ってくれている。(←これ笑われているの間違い)

だけどこの際、そんなことは関係ない。

笑顔が見れればそれで良しなのだ。

だって、今日は運良く社食で会えて、その上相席なんて奇跡が起こってるけど。

営業部の人なんて、基本外回りでいない方が多いしランチの時間もずれることが多いから滅多に会う事なんてない。

今日だって数週間ぶりに目にしたんだから。
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