甘い秘密と苦いウソ

 

 スッと、わたしの後ろに理人さんが立ったのが分かった。


 わたしは目の前の食材たちを調理しなければならないので後ろを振り返らなかった。



 少したっても理人さんは、ただ後ろに立っているだけでなにせず、なにも発さずの状態だ。


 そうしていられると、逆に私が気に立って仕方がない。なんなんだと思って、振り返るとそこには




 満足げにほほ笑んだ理人さんの姿があった。



「やっと振り向いてくれた。作り終わるまで僕に振り向いてくれないのかと思ったよ」


「だって、理人さんが何もしてこないなんて気になるじゃん!!」



「琴音ちゃんがこうやっているとさ、なんとなくお嫁さんみたいだなって思ってついかわいくてね」


「…ロリコンなの?」


「……そうかもね」


 そう言った理人さんは先ほどとは違いどことなく寂しげな笑みを口元に浮かべながらキッチンを去り、リビングのソファーへと腰を掛けた。




 その後ろ姿もどこか悲しげに見えたのは気のせいではないはず……



 ロリコンは、言い過ぎたかな……?
   







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