甘い秘密と苦いウソ
今、わたしの目の前ではわたしの作った肉じゃがをよく味わうかのように食べている理人さんがいる。
わたしは、恐る恐る尋ねる。
「今回の肉じゃがは、どうかな?」
「先月よりも良くなっているよ。すごくおいしいよ、琴音ちゃん」
理人さんの言葉を聞きわたしは、ほっと安心した。
実は先月にも私は肉じゃがを作ったのだが、味がなかなか食材に溶け込んでいなかったのでどこか物足りなさを感じるものになってしまったので、今回も不安だったのだ。
コツというものをネットで調べたいところだが、わたしはネットがいや、機械が苦手なので普段はいかない図書室に昼休みに行って料理本を読み漁っていた。
まさか、理人さんから一発でおいしいと言われることを想像してなかったのでまさに、料理本サマサマだと思う。
よし、今度からは自分の料理スキルだけでおいしいと言わせてみよう!!
理人さんの食べている姿を見てわたしはそう決心した。