甘い秘密と苦いウソ
そして理人さんは何かを思い出したかのように急に立ち上がり、隣の部屋へ行ってしまった。
……数分もたたないうちに理人さんは戻ってきた。
戻ってきた理人さんの手にはキャンバスがあった。
それとともに理人さんから少し絵の具の独特のにおいがした。隣の部屋に行ったからだろうか、キャンバスを持っているせいなのだろうか。
「お待たせ。ようやく絵が完成したんだ。琴音ちゃんに一番に見てほしくて」
はいっというように、わたしに絵を見せた。
そこに描かれていたのはわたしが初めてブログにアップしてもらった写真だった。
わたしの撮った写真がこうして絵にされるのを見るのは初めてで、言葉で表すことのできない喜びと感動、感情が一気に波となってわたしの心の淵から越えていく。