甘い秘密と苦いウソ


「それってさ、期待しちゃうよ。


 普通の男は、ね。」



「そんなこと言われても、わかんないし」


 はあ、と久我君がため息をついた。



「Rionのうわさ聞いたよ。彼氏ってことにしてるみたいだけど、いいの?」


「いいって、なにが?」


「彼氏じゃない人の写真載せてんのに彼氏って。

 ある人に怒られんじゃないの?

 ある人が、彼氏なんでしょ?」


 久我君は観察力がある。


 たった少しの間で、少し話したある人の話からここまで行きついてしまうなんて。


 わたしが、鈍すぎるのかな?



「そうだよ。ある人が、わたしの彼氏だよ。


 でもね、大人だから大丈夫。これからは、久我君の写真撮らないから……」



「べつに、撮ってもいいよ。

 撮りたければ撮ればいいよ。写真、好きなんでしょ。

 アップする写真をある人だけにすればいい話じゃん」


 だろ?、と同意を求めるように笑ってうつむいたわたしを覗き込んだ。


 この人は、わたしの考えのいくつもの先を行くんだとわかった……




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