愛と幸
そうなんだ…。

「ほんと、夢愛ちゃんのこと好きだよね。」

えぇ。

「お、教えてくださってたりがとうございます。そ、それでは…!さようなら!!」

私は逃げるように教室を抜け出した。

自分の教室に向かう途中、ふいに、廊下にある窓の方に視線を向けると、幸哉先輩が校庭を歩いていた。

あ、私がいなかったから帰ろうとしたのかな。

私は急いで下駄箱で靴を脱いで、幸哉先輩のもとまで走った。

「幸哉せんぱーーいっ!」

そう叫ぶと、幸哉先輩は振り返った。

「っ!?」

私は驚いた。

幸哉先輩が今にも泣き出しそうな顔をしていたから。

え?なんで?

「先輩、何かあったんですか?」

「星崎さん、別れよう。」

え…?

な、なんで?

自分の気持ちに気付いたのに?

終わっちゃうの?

「な、なんで、ですか…?」

「じゃあね。」

先輩は、私の質問に答えてくれず、また歩き出してしまった。
< 30 / 64 >

この作品をシェア

pagetop