愛と幸
それからの俺は、初めての〝お付き合い〟というものにすごく戸惑った。

あいつの前では緊張して、猫かぶってしまったり。

一緒に帰ろうと誘ったものの、なにを話せばいいのかわからなくて結局無言になってしまったり。

デートにも誘ったけど、大人の男ってとこを見せたくてほんとは飲めないコーヒーを頼んだり。

自分は苦手な恋愛映画を我慢してなんとかやり過ごしたり。

女物のアクセサリーを買ったり。

幸翔に「手も繋いでないの!?」とか言われて、簡単に手繋いでいる幸翔にムッとして、手を繋いだり。

でも、毎日が新鮮で楽しかった。

学校に行くことがおっくうでしかなかったのに、いつの間にかあいつに会いたくて学校に行くのが楽しみになっていたり。

でも、そんな毎日にはあっという間に終わりが来た。
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