愛と幸
廊下を歩いていると、

「あれっ。君双子の子!?今1人!?よかったら俺と一緒にまわんない?」

と、声をかけられた。

「いや、あの…」

私がどうしようか困ってると、グイッと腕を引っ張られた。

誰だろうと思ってその人の顔を見ると、幸哉先輩だった。

そしてそのまま裏庭まで連れて行かれた。

「あ、あのっ!ありがとう、ございます!」

「なにが。」

すごい、冷たい声。

まるで、幸哉先輩じゃないみたいで怖い。

でも…

「助けてくれたんじゃ、ないんですか…?」

私には聞きたいことがある。

「別に助けたわけじゃない。」

それだけ言って帰ろうとした幸哉先輩の腕を掴んだ。

「あのっ!…なんで、私のこと振ったんですか…?」

「…それ聞いてどうするの。」

「ただ、気になっただけです…。」

「好きじゃなくなっただけ。」

ズキン、と胸が痛くなった。

でも、私にはなにか引っかかるものがあった。

幸哉先輩は、双子と付き合いたいと思っていた。

だから、好きとかは関係ないはずだ。
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