愛と幸
そしてそのまま、近くにあったベッドに押し倒される。

「…え。」

一瞬のことで、なにが起きたのかよくわからなかった。

「男の家に来るってことはそういうことだってわかってんだろ?」

…やばい。

いくら先輩が良い人だからって、ここは男の人の部屋だ。

しかも、好きな人の。

「ご、ごめんなさい!そういうつもりで来たんじゃないんです!」

「お前さぁ、俺のこと好きなんだよね?」

言葉に詰まった。

そうだ。

私には断る権利なんかない。

「…いいですよ。どうせそういうつもりだったんでしょ?でも別に、先輩の近くにいられるならそういう関係でもいい。先輩ならこわくない。」

「…っ。やっぱお前帰れ。」

「へっ?」

「帰れって言ったんだよ。早く帰れ。」

先輩がいつもよりさらに低い声で言うので、私はこわくなって逃げるように先輩の家を去った。
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