八色(やいろ)の虹 ~君らしく僕らしく~
①
「ねえ、赤さん。君はいつも人気者でいいよな」
そう赤に嫉妬《しっと》しながら話し始めたのは青である。
「何をおっしゃいますやら……。
青さん、君だって他の色のみんなに羨《うら》ましがられる程の人気者じゃないですか。
人間さまの子供たちのおえかきを見てみろ。
海に空、子供たちはみんな君を愛してるんだよ。
それに比べて僕たち赤が絵の中に出てくるのは、
『火の用心』のポスターを描いてくれている時くらいのものだよ」
赤も青に嫉妬しているようだ。
「でもさ、その子供たちが大好きな
『なんちゃら戦隊なんちゃらレンジャー』
ってあるだろ?
そのドラマの中ではいつも赤がリーダーなんだよ。
いつだって俺たち青は二番目。
だから君《あか》が色の中では一番なんだよ。
だいたい、人間さまのやってる運動会だって、
赤組と白組に分かれて競い合ってるだろ?
青組を作ってくれる小学校なんて聞いた事もないよ」
「まあまあ、そう僻《ひが》むなって。
なんといってもクレヨン王子は君たちなんだからさ」
「ま、まあな」
クレヨン王子と呼ばれ、
青はまんざらでもない表情をした。
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