クールな同期と熱愛はじめ
Round2:上から目線の宣戦布告
美香から指示のあった店は、会社から歩いて十分の場所だった。リーズナブルな洋風居酒屋で、たまに胡桃とも来る店だ。
勝手知ったる店内へ入り、「いらっしゃいませ」という店員の声に軽く会釈をしながら奥へと足を進める。
腰の高さの衝立に囲まれた、半個室のような造りのテーブルには、頭が六つ見えた。
振り返った美香が私に手を振る。
それに軽く振り返しながらテーブルに辿り着くと、向かい側には男性が三名座っていた。
手前側には美香を含んだ女性が三名。美香以外のふたりは、私の知らない顔だった。
「遅くなってごめんね」
「ううん、こっちこそ急でごめん」
美香と小声でやり取りをしながら、空いている端の席に座る。私の目の前も空席だった。
「あとひとり来る予定なの」
美香はそこを指差しながら教えてくれた。
「でもちょっと遅れるみたいだから、先に始めようと思って」