クールな同期と熱愛はじめ
のんびりとバッグに荷物を詰め込んでいると、「早くしろ。行くぞ」と桜木くんが急かす。
「行くってどこに?」
「宇佐美にゴチしてもらおうかと」
「は!? なんで!」
桜木くんは意地悪に目を細めた。
「俺に風邪を移した詫びだ」
反論を強めようとした矢先に言われたひと言が、私の言葉を喉に張りつけさせる。それを言われるととても辛い。
「おかげでプラン設計を仕上げるために、休日出勤までしなきゃならなかったしな」
項垂れた頭をデスクにまでくっつけた。
確かに私のせいかもしれない。そう言われても仕方のない状況だった。
諦めて顔を上げる。
「私、そんなに持ち合わせないからね」
「なにも高級料理をおごれと言っているわけじゃないから安心しろ」