クールな同期と熱愛はじめ
「あのなぁ、洋服を引っ張られて喜ぶ男は下心があるヤツだけ。しかも、これセーターだから。ったく、どこ情報だよ」
呆れて言い捨てる。
「……どこの情報って……それはその……ネットで……」
ボソボソと正直に白状した。自分発信じゃないことを言いたかったのかもしれない。
「そんなのを鵜呑みにする女がいるとはね。“これが男のキュンポイント”とかいった類のやつとか」
なんて鋭いのだ。ギクリとしたのは言うまでもない。そのとおりだっただけに言葉に詰まる。
桜木くんは軽蔑するような眼差しを私に向けた。
これでは全然だめだ。桜木くんを恋に落とすより早く、私が撃墜されてしまう。なんとかせねば。
「あのね、桜木く――」
そこで言葉を呑み込んだ。
不意に彼が私の肩を強く引き寄せたのだ。