クールな同期と熱愛はじめ

ニヤニヤと口元が緩んでいた間宮さんは、目をまん丸くした。


「そ、そうなの? 俺はてっきり……」


私たちを交互に見つめて困ったような顔だった。


「とにかく、妙な勘繰りはよせ」

「はーい」


桜木くんに釘をさされた間宮さんは、素直に手を上げて応じた。


「で、アジャンタは?」


桜木くんが店の奥を覗き込むように首を伸ばす。
間宮さんがインド料理店から引き抜いた陽気な人だ。


「あ、彼? 彼なら辞めたよ」


あっけらかんと間宮さんが言う。


「辞めたって、なんで」


桜木くんは頬杖を突きながら尋ねた。

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