クールな同期と熱愛はじめ
「その代わりに、おいしいイタリアンを出すからさ」
そう言いながら、間宮さんがパンパンと手を叩く。すると店の奥から、背の高い白人の男性が出てきたではないか。
「昨日からうちの店で働くことになったフランチェスコ」
「フランチェスコでーす。よろしくお願いします」
彼が真っ白な歯を見せる。アジャンタよりもクリアな日本語だった。
「フランチェスコの作るリゾットが、めちゃくちゃおいしいんだよ」
間宮さんは満面の笑みで私たちに訴えかけた。
そんな彼を桜木くんが手招きで呼び寄せる。
「なになに?」と顔を寄せてきた間宮さん。
「またどこかのイタリアンレストランから引き抜いたのか」
「ピンポーン」
小声で尋ねた桜木くんに明るく答えた。