クールな同期と熱愛はじめ

桜木くんに挑発されて、口をポカンとしていた間宮さんの顔が途端に険しくなる。


「くっそー。今はちょっと気を抜いていただけだ。卓球王子のすごさを見せてやるー! 悠里ちゃん、俺に惚れんなよ」

「誰も惚れないから安心しろ」


桜木くんに即座に返されて、間宮さんは目を鋭くさせた。
お尻をふりふりさせ、球を高らかに投げる。空気を切るようにサーブを打つと、その球は桜木くんの目の前で右側にカーブを描き逸れていった。

反応できなかった桜木くんに、間宮さんがガッツポーズをする。


「どうだ。俺のスクリューサーブは」

「フンッ。そのくらい俺にだってできる」


間宮さんを真似て、今度は桜木くんがサーブをした。
うまく“曲がる魔球”になったものの間宮さんにレシーブされてしまった。

そこから続くラリー。どっちも引かない。
都大会二位の間宮さんが上手なのは当然だけど、桜木くんも負けていない。
私のことを『負けず嫌いだ』と言っておきながら、桜木くんだってそうじゃないか。

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