クールな同期と熱愛はじめ
「おりゃあ!」と大きく声をあげながらラケットを振る間宮さんの賑やかさとは対照的に、桜木くんの静かだが熱のこもった動き。
ムキになって卓球をする彼の姿を見ているうちに、自分の顔が綻んでいた。しかも、なんだか胸が温かい。
そんなことに気づいて、なぜだかドキドキする。
慌ててカウンター側へ向きなおったところで、「お待たせいたしましたー!」とフランチェスコさんがドリアをふたつ並べてくれた。
「熱いですから気をつけてくださいねー」
「ありがとうございます」
にこやかな笑みを浮かべた顔を近づけられ、思わずのけ反る。
イタリアの人は、みんなこんなに整った顔をしているんだろうか。彫刻みたいだ。
「わお! ふたりとも上手ですねぇ」
フランチェスコさんが桜木くんたちを見て声を上げる。
「僕もやらせてもらおう」
カウンターから出て、長いラリーの続くふたりの間に割り込んだ。
そのせいで球を返し損ねた間宮さんが、「おい、フランチェスコ、邪魔だって!」と息を巻く。
「僕にもやらせてくださいよ」
「ちょっと待って! 司をこてんぱんにしてからだ!」
「ほぉ、できるものならやってみろ」
一向に終わりの見えない勝負を横目に、私は熱々のリゾットに私はリゾットにスプーンを入れフーフーと冷まし始めた。