クールな同期と熱愛はじめ

ビールジョッキを置いて何気なく視線を上げていく。


「……宇佐美?」


思わず『ひっ』と声を上げそうになった。
今、最も見たくない顔がそこにあったのだ。

どうして、彼がここに――!

同じ星の元に生まれながら、運勢がまるで逆の人。桜木司、私の宿敵だったのだ。


「えー? なになにー? ふたりって知り合いなのー?」


間宮さんが左右の人差し指を私たちそれぞれに向けながら肩を揺らす。
桜木くんは顔色ひとつ変えずに、「同じ会社」とボソッと言った。


「マジでぇ? それって、すごい奇跡じゃーん。これだけ広い宇宙の中で、たまたま合コンで知り合いに会うなんてさ。運命ってやつ?」


なぜかひとり興奮気味の間宮さんが、目をキラキラとさせる。

今日の私は、とことん運が悪い。せっかく気分を一新するために彼氏を作ろうと意気込んで参加したのに、嫌なことを思い出す人物がそこに紛れ込んでくるとは。

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