クールな同期と熱愛はじめ
いよいよ運命にも見放されたか。
上り始める気配を見せた気分は、平行線をたどることなく下降へと向かう。
どうして美香の誘いにあっさり乗ってしまったんだろう。そんなに簡単に彼氏ができるはずもないのに。
今すぐ今日のお昼に時間を巻き戻したかった。
「ちょっと、悠里」
隣から美香が私の服を引っ張る。
「イイ男じゃない」
私の耳に口元を寄せて小声で囁いた。
……イイ男?
桜木くんをサッと見て視線を外す。
まぁ確かに、その部類ではある。社内で女子からも人気は高い方だ。
ただ、私にとってはライバルなのだ。イイ男云々ではなく、仕事で全く歯が立たないことが前面にでてくる。
「それじゃ、これで全員揃ったことだし、もう一回乾杯しましょうか」
美香の提案に、間宮さんが「いいねいいね」と乗る。