クールな同期と熱愛はじめ
素早く手配した桜木くんの分のビールが運ばれてくると、間宮さんはみんなを立ち上がらせた。
男性四人が並んで立つと、間宮さんひとりの頭だけがポコッと凹む。桜木くんの肩くらいの身長だ。桜木くんが私より頭ひとつ分ほど高いから百七十センチ代後半として、間宮さんは男性にしてみたら小柄な方なのかもしれない。
「それでは、今夜ここに集まった男女八人の奇跡の出会いに――」
間宮さんがそこまで言うと、美香たちはクスクス笑いながら「かんぱーい」とジョッキを持ち上げた。
こうなったら、桜木くんはここにいないものと思おう。私はとにかく初志貫徹。彼氏を作ることに集中しよう。
ただ、狙いを定めた吉井さんが、ちょっと遠い席なのがネックだ。
さすがに開始早々、席替えをお願いするわけにもいかない。
かといって、ここで吉井さんが他の女子と仲よくなるのをぼんやり眺めていてはいけない。合コンはスタートダッシュが肝心なのだ。最初に相手のハートをがっちり掴むこと。それがなにより大切だ。
よし、ここはひとまず女子力を彼に見せつけよう。
「吉井さん、なにか取りましょうか?」