クールな同期と熱愛はじめ

「オアシスで飲んでいたら、北原が電話で話しているのが聞こえたんだ。打ち合わせに行ったはずの宇佐美がインテルノにいるって言うから、なんとなく胸騒ぎがした」

「……胸騒ぎ?」

「あの高梨って施主、最初からちょっと怪しかっただろ」


そう言われてもピンとこない。
最初ということは、あのプレゼンのときから?
私は、特に怪しいとは感じなかった。


「宇佐美をジロジロ見たり、必要以上に絡んできたじゃないか。気づかなかったのか」

「あのときはそこまでは……」


桜木くんは「はぁ」と大きなため息を吐いた。
呆れられてしまったようだ。

今夜、やたらとパーソナルスペースを侵してきたのは、人との距離感がつかめない人なのかもしれないと思ったくらいだった。
ソファに押し倒される、ほんの少し前までは。


「でも、どうして部屋がわかったの?」

「北原がスイートだって言ってたから。片っ端から部屋のチャイムを鳴らした。そしたら案の定、宇佐美があんなことに」


桜木くんは平然と言った。
三部屋目でビンゴだったらしい。

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