クールな同期と熱愛はじめ

「宇佐美は最初から狙われてたんだよ」

「……え? それじゃ私を選んだのは、設計が気に入ったわけじゃなかったってこと?」


桜木くんは困ったように顔を曇らせた。

高梨さんは、設計に惹かれたわけじゃない。
私目的だったと言いたいの?
彼はYESと言っているも同然だった。

胸の奥から、なにかが込み上げてくる。
そのせいで呼吸が乱れた。
肩を上下させて酸素を取り込む。


「宇佐美?」

「ひどいよ、桜木くん! 私が選ばれたからって、そんな言い方ないじゃない!」

「落ち着け、そういうことじゃない」


桜木くんが私を宥めようと伸ばした手を邪険に振り払う。


「もういい!」


そう吐き捨て、止まっていたエレベーターにひとり乗り込む。閉ボタンを押し、桜木くんを置き去りにした。

自分の部屋のドアを乱暴に締め、そのままベッドにダイブする。

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