クールな同期と熱愛はじめ
従業員数は二千五百人を超え、日本では五本の指に数えられる規模だ。
間取りがある程度決められた家よりも、自由設計で建てたいというお客様から支持されている。
私はそこの七階に居を構える設計部に所属し、住宅の設計に携わって六年目になる。
ちょうど一週間前、越川さんと桜木くんと私の三人は、新居を計画しているお客様へ設計のプランニング案を提出していたのだ。
お客様の要望に応えられるよう、それはもう必死だった。それこそ、寝ても覚めても設計のことで頭はいっぱい。おかげで目がらんらんと冴えてしまって、眠れない夜もあった。
ただ、三人の案のうち、どれが選ばれるかはお客様次第。賭けのようなものでもあった。
その結果が、いよいよ出たのだろう。
クレアホームでは、お客様がこういった家を建てたいという要望をまず何人かの設計士が個別にプランニングすることから始まる。それから、お客様が選んだプランニング案を元に、実際に建てる図面をひく実施設計となる。
ハウスメーカーによっては、プランニング設計と実施設計を別の者が担当するところもあるけれど、うちはプランニング設計を作成したものが引き続き実施設計も担当する流れとなっている。