クールな同期と熱愛はじめ

私になにも言ってくれなかったのは、桜木くんの中で私はそこまでの存在だということなのかもしれない。

思い返してみれば、彼から好きだと言われた記憶もない。付き合おうという言葉もなかった。

バンガローでの一夜は、彼にしてみたら成り行きで起こっただけだった。
私のことを好きなわけではなく、桜木くんに対する私の好意を感じ取って、その場の流れで抱いただけのこと。
きっとそうなんだろう。


「でもさ、悠里ちゃん、司もなにか考えがあってのことだと思う。そんな不誠実なことはしない」


私を慰めようと間宮さんが必死になっているのはわかった。
彼の評価を下げないように。私が落ち込まないように。言葉を選びながら、間宮さんは優しく諭してくれたのだった。